君が微笑んでくれるから Ep06祀火-2

君が微笑んでくれるから

「すいません、遅くなりました」
音楽室に駆け込むと、ブラバンの皆んなが勢揃い。
「わっ、衣装ですか?」
「完全に王子様じゃないですか」

「学祭の音楽室の演奏の時、その衣装で来てくださいよ」
「そぉ?似合ってる?まだ、上に重いの羽織るんだけどね」
「早く準備してきなさい」
「はい」

「よし、学祭の通しリーハーサル、始めるぞ。
3年は、最後の演奏になる。集中しろ」
「はい」
神宮寺先生がタクトを上げる。

バーンスタイン「ラプソディ・イン・ブルー」
https://www.youtube.com/watch?v=SSKBNiAdlgg
演奏 豊宮高吹奏楽部 pf二木マリエ

「うん、よし。ただ、筒井だけが衣装なのはかなり浮いて見えるなぁw」
「体育館での演奏は、土曜の午前中なので、制服で出ます」
「ヒロ先輩、音楽室の演奏の時は、その衣装で来てくださいよ」
「そうだね、チラシ配れるかもしんないしね」

柔道場。F4。
「あーー、やっぱ鏡あると便利だわー。ゼン、ツー、動画見てくれた?」
「中庭イベントですね。はい、何度も見ました」
「ポジションもたくさん変わるし、
みんなやる事が違うから、難しいですね」

「でも、ライトくんが上手くアレンジしてくれたと思います」
「じゃー、いっちょ合わせてみっかー?」

「おー、アツいねー!どう?いきなりうまくいったんじゃねー?」
「動画を共有していただけなのに、驚きました」
「はぁーー(溜息)、そんなの当たり前って話。だって、俺たちはF4ですよ?」

「よーし、ダンス部はとりあえずOKだー」
「あとは、ステージ3曲目、キンプリのフォーメーションですね」
「あれも、意外と複雑だもんなー。
松尾先輩、4人でやって見せても、絶対わかんないから、1年2人呼ぼ」

「はぁーー(溜息)、ショウタロウにしては、良いアイデアって話。
もう、LINEでロキとトオルを呼んでいますよ」
「流石、ライトー。出来る子だー、よーしよーし」
「気安く髪触らないで下さい。
はぁーー(溜息)、あー、ここ、ショウタロウだけ、センター割れしてます。
調子に乗らないで、全体を見てください」
「ライトはアツいなー。これくらい、本番までに修正できるって」
「いや、今日直して下さい」

「あーできたできた。今日は疲れたなー」
「疲れましたね」
「なーゼンー、いい加減、敬語使うの止めてくんない?」
「敬語、使ってましたか?」
「バリ、使ってるってーw」

「なー、こうして俺とゼンが肩組んで歩いてるの、ツーは嫌なんじゃない?」
「はい、それはそうですね」
「もう、いいから告っちゃえよ。
言って後悔するか、言わないで後悔するか、だぜ」
「それはそうですけど、、、照」
「ちょっとはプレイボーイの俺を見習えって」
「ショウタロウは、ほぼ全敗じゃないですか」

「あー、F4お疲れー」
「おーー、ヒロ先輩。ポジションの動画送っておいたので、後で見てください」
「へーい、後で見るー」

「ブラバンの練習してたんスか?」
「うん、そう」
「ブラバンと、ダンスで、大変スね」
「楽しいから、そんなに苦になってないよ」

「ねー、俺、邪魔になってない?」
「そんな事ないっスよ」「問題ないです。思っていたよりたくさん出来ていますよ」
「そぉ?じゃーもっとたくさん褒めてー。
この学園、怖い人ばっかなんだもん。もっと褒めてー」

「よーしよーし、ヒロ先輩は、いつもかわいいっスよ。ほらゼンも」
「ヒロ先輩は、いつもかわいいですよ」
「F4もいつもかっこいいよー。ショウもゼンも大好きー」
「ヨリ先輩が居なかったら、俺のハニーになって欲しいっスよ」
「えー、ショウー、振られたばっかりなのに、もう、そういう冗談、言えるんだー」
「え、何で、それ知ってるんスか?」
「宮田情報ー」
「もー、なんなんスかー、あの人はー」

「はぁーー(溜息)。あのー、ツー先輩は、
ヒロ先輩がゼン先輩といちゃいちゃしてるのを見て、
殺意、とか、感じないんですか?」
「え?ライトくん??それはー、俺も、ちょっと嫌だけど」
「はぁーー(溜息)、俺、こんな事でカロリー消費したくないんですけどねー、
あのですね、あの人、すごく頭悪いから、ちゃんと言ってやらないと、
永遠に気付きませんよ」

「ああいうヤバい人だから、ちょっとくらいなら、しょうがないんじゃない?」
「俺だったら、ちょっとくらいでも嫌だと思いますけどね。
あのー、ツー先輩の好きって、その位の好きなんですか?
俺は、そーいうの、嫌ですよ。
はぁーー(溜息)、つまりはですね、いい加減、ハッキリしろって話、ですよ」

「あー、ヨリくーん。迎えに来てくれたんだー」
「部屋にこもって勉強してるだけだと、息詰まっちゃうしねー」
「何スかー、ヨリ先輩。わがままプリンスのお迎えっスか。激アツっスね」

「なんだ、F4が揃っているなら、俺も呼んでくれたら良かったのに」
「いえ、今日は、ダンス部と、ブラバンは別行動でした、、」
「そ、帰りの時間がたまたま一緒だっただけー」

「そいじゃー、明日か明後日あたり、
フォーメーション合わせしようね。じゃ、お疲れー」
俺はヨリくんの自転車の後ろに乗って、F4に手を振った。
「はい、お疲れ様っス。
あっ、ヒロ先輩!こんな所で、イチャイチャしちゃだめっスよ!」

「あの人って、学園のプリンスって認識、あるのかねー?」
「そうですね。完全に問題がありますね」

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