君が微笑んでくれるから Ep05雨宿り-5

君が微笑んでくれるから

ヒロ先輩と並んで、渡り廊下に座っている。
ヒロ先輩は、すぐに僕にくっついてくる。
なんか、やっちゃいけないこと、しているような気がする。
「ヒロ先輩、これ、使っていないタオルです。髪とか拭いてください」
「ありがとー。あー、雨すごいねー。屋根あっても雨が入ってくるね」
「ダンスの確認でもしますか?
あっ、すいません。LINEが来ました」

LINEを開くと、ツーからだった。
ツー:まだ学校?ヨリ先輩うちに来てるよ
ゼン:学校で雨宿りしている。ヒロ先輩と一緒
ツー:俺は家でヨリ先輩とゲームしてる
ゼン:雨が止んだらすぐ戻る
ツー:了解。ヒロ先輩は連れてこないでね
ゼン:了解

「誰からー?」
「ツーからでした。今、何処?って」
そういえば、ツーと久しぶりに話(?)をしたな。
ツーも謝ろうとしてくれているのかな?
だとしたら嬉しいな。俺も歩み寄らなきゃだな。

「ちょっと寒くなってきたね」
「大丈夫ですか?鳥肌が凄いですよ」
もうー、ヒロ先輩って人は無邪気というかなんというか。。。
そんな目で見つめられたら、こうするしかないでしょ
ヒロ先輩をギュッと抱き寄せた。ヒロ先輩、こんなに小さいんだ。。。
「どうですか?暖かいですか?」
「ゼン、ありがとうー。あったかい」

「あのー、音楽室のイベントのことなんですけど」
「うん?」
「最後は竈門炭治郎の歌と炎(ほむら)にしようかなって言ってたじゃ無いですか?」
「そうだね」
「もうちょっと、僕とツーの絡みを増やして欲しいなと思いまして」
「え?何で?」
「実は、ですね。ツーとつまらないことで喧嘩をしていまして、このところ話をしていないんです。
だから、一緒に練習する機会が増えると、仲直りしやすいかなと思って」
「えー、そうなのー?仲良さそうに見えるけど」
「ツーは、外面がいいんです」

「とにかくさー、2人は仲良くしなきゃだめだよ。
はるばる台湾から来た2人なんだから。
日本で1人っきりって、心細くなっちゃう時もあるでしょ?
母国語で話せる相手が居るのは、お互い凄い救いになってるはずだよ」
やっぱり、ヒロ先輩に相談して良かった。
僕たちの事、気づいていないみたいだし。
それに、もう何か考え始めているみたい。
「ゼンが歌上手いのは知ってるけど、ツーはどうなの?」
「ツーはああいう奴だから、カラオケ、上手でしたよ」
「へー、じゃーハモりの曲とか入れてみよっか。なんかいいのあるかなー」

「ねー、こういうのはどうかなー?」
「ちょっと秋っぽいですね」
「やっぱ、夏っぽい方がいっかー」
ヒロ先輩をバックハグしながら、同じヘッドフォンで曲を聞いている。
ツーが見ていたら、絶対怒るだろうな。。ヨリ先輩も。
夢中で喋っている時のヒロ先輩は、足を拭いてあげても、
ハグしてゆらゆら動いても、特別な反応はしてくれない。
多分、僕のこと、そーいう対象としては見てはいないんだろうな。

「でもせっかくF4が二人居るんだから、踊りも見せたいよね」
「もう一曲増やすんですか?」
「そうなっちゃうねー」
「ヒロ先輩は、よくばりですね。でも、何か、考えましょう」
「ありがとー。ゼン大好きー」

「実はですね、中庭イベントに使う曲を、ショウと考えていた時に、
やってみたいなって曲があったんですよ」
「えー、聞かせてよ」
「はい、ちょっと待ってくださいね。はい、これです」
「おー、いい感じじゃーん」

なんか、ヒロ先輩と色んなこと喋った気がする。
そして、「眠い。寝る」と言って、いきなり寝ちゃった。
えーーーー。この人、本当に寝ている。
僕の膝枕で眠るヒロ先輩。有問題。どうしよう。めちゃくちゃ可愛いんだけど。
すごく、良くないことをしているような気がする、、、
こういう無防備なの、良く無いですよ。叩いて起こした方が良いのかな?
「ヨリくん、寒い」寝言を言いながら、体勢を変えた。
仰向けでも恥ずかしいのに、股にうつ伏せ。かなり恥ずかしい。
有問題有問題。どうしたらいいんだろう、、、。

「そこっ、もう8時になるぞ。早く帰宅しなさい」
「あっ、宮城先生」
「なんだ、林(リン)か、そこに居るのは筒井か?」
「はい。筒井先輩です」
「お前達、、、そういう関係だったのか?」
「いえ、違います。雨宿りしていたら、筒井先輩がいきなり寝ちゃいまして」
「あーー。全く、コイツはしょうがない奴だな。
持ち主不明の傘持ってきてやるから、帰りなさい。
家は近かったよな?」
「はい、近いです。有難うございます」

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