近くの林に、雷が落ちた。
「雷、近いですね」
「これは、ゲリラ(豪雨)来るかもね。って、あー、もうポツポツ降ってきた」
「ヨリ先輩、ウチまで走りましょう」
「うん、そうだね」
ビッビーッ!後方からバイクみたいな自転車が凄い勢いで迫ってくる。
「ツー!危ない!」思わず、ツー君を引き寄せた。
「危ねぇなぁ、あのでっかい自転車のウーバー、超怖いよな。ツー君、大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
雨はすっかり土砂降りになっていた。もう二人とも、びしょ濡れだ。
「あーくそー、あの野郎、
ウーバーの番号覚えとけば良かった」
ツー君にぎゅっと抱きしめられた。
「ヨリ先輩、やっぱり背、高いですね、、、ちょっとドキッとしてしまいました」
「ツーくん?」
「ごめんなさい。ジョークです。忘れてください」
「忘れる。それに、ツーくん、本当は好きな人いるでしょ?」
「判りますか?」
「見てれば判るって」
「春日部先輩はF4って言いましたけど、俺は、F4みたいにカッコいいですか?」
「ツー君は、カッコいいってよりは、可愛い系かなー」
「日本語の可愛いは、色んな使い方があります。どの可愛いですか?」
「あー、日本語めんどくさー。とにかくね、
ツーくんはF4なんだよ。絶対大丈夫だから、正直にプロポーズすること、いいね?」
「はい。今はとりあえず、ダッシュして、俺のホームステイ先に行きましょう。
あとからゼンも来ますよ」
ツーくんのホームステイ先で、シャワーを浴びさせてもらう。
「制服のズボン、完全には乾かないと思いますが、タオルに挟んでおきます。
シャツや下着は今洗っています。
あと、ゼンの服と下着を置いておきますね。好きなの着てください」
と、バスルームの外からツーくん。
「ありがとー。助かるー」
ほんと助かったー。とりあえず一息。
部屋に入ると、2段ベッドと机とテレビ、ゲーム機もある。
本棚にはやたら画数の多い漢字の本もいくつか混じっている。
ここで、ツーくんとゼンくんは暮らしているのかー。
しばらくすると、ツーくんが髪をタオルで拭きながら戻ってきた。
「先輩、背が高いから、ゼンの服、ちょうど良いですね」
「そうだね。ゼンくんは、まだ学校で練習してるのかな?」
「はい。ヒロ先輩とまだ学校に居るみたいです」
「じゃぁ、俺は、ツーくん達の部屋に居るよって送らなきゃ。
せっかくだから皆んなでちょっと遊ぼうよ」
「えーと、それはやめましょう」
「え?何で?」
「それはですね。実は、ゼンとつまらない言い合いをしてしまいまして。
お互い、気まずくて、このところあまり話をしていないんです」
「あー、なるほどねー。じゃー、ヒロは居ない方がいいかもだねーw」
「はい、そうですね」