振り付けは時々、エミリ達に見てもらうけど、
やっぱヨリくんが、ガミ無し(鏡無しに)になると、
緊張しちゃっていきなりできなくなるなー。フリは入ってるんだけどなー。
「ヨリくん、一応、フリは入ってんだけど、ガミ無しになるといきなりテンパるよね」
「エミリもそう思う?
今まで人前に出るようなこと無かった人だから、緊張しちゃうんだろねー。
なんかいいアイデア無い?」
「チャパ、じゃさ、明日ヒロミに頼んで、可愛げな男の子4人くらい借りてきてよ」
「4人追加って、それじゃモロ、オリジナルのキンプリになっちゃうじゃん」
「6人いれば、色々やりようがあるしょ。それに、みんなで踊ると、楽しいしね」
翌日。
春日部ヒロミ、いつもこんな所で練習してんだ。
「ヒロミー、久しぶりー。ドレッドにしたんだ。かっこいいねー」
「なんだ、チャパか、何の用だ?あと、下の名前で呼ぶんじゃねー」
「そこは、お約束でしょー」
「実はね、学祭関連で可愛い感じの子をあと4人貸して欲しくて」
「昨日も、4人貸したよなー?」
「色々あって、もうちょっと必要ってことになっちゃって」
「そんなら、スジってもんがあんだろ。チャパじゃなくて、シノが来いよ」
「シノのご機嫌とっとくと、こんな場所で練習しなくてもよくなるかも知んないじゃん」
「こんな場所だと?温室育ちのおめーにはわかんねーだろ」
「はぁ?誰が温室育ちだって?オメー、無駄にでけーからって、イキがってんじゃねーぞ」
「はいはい、ストップ。そこまで、そこまでーー」
「シノ」「シノ、、」
「このバカをよこしたのは、完全に俺の采配ミスだ。謝罪する」
なんだよ、エミリのやつ、シノと通じてたのかよ。
「改めて、俺から依頼する。ダンス部男子から、4人貸して欲しい」
「だったら、最初からそう言えよな。
お前、なんだかんだで、チャパのこと、気に留めてんだな」
「は?どういう意味だ?」
「全く、お前って奴は、本当に不器用な男だな。
LINEでエミリから話聞いた瞬間にひらめいてたぞ。
ショウ、ライト、ゼン、ツー、こっち来い」
「なんスか?さっき言ってたアツいステージのことっスかー?」
「はぁーー(溜息)、だから最初っから俺たちにまかせろって話、ヒロミ先輩」
「楽しいことなりそうですね。僕は問題ないですよ」
「本当にステージで踊れるんですか?これはヤバいですね。」
ヒロミと違って育ちの良さそうな感じの二年生4人。
「おい、春日部、何だよ、こいつら?笑えてくるくらいイケてんだけど。
隠し玉中の隠し玉じゃねーか」
「だろー?来年あたり、宮高のF4になってるかもなー」
F4って何?
「左宮寺、ダンス部に入っているなら先に報告しろ」
「すいません、どうにも言い出しづらくて」
「シノ、ショウを責めるな、これは俺のせいでもある。
俺はお前みたいな奴は好きになれない。お前もそうだろう?
でも、それを後輩にまで伝えてはいけないと思った」
「チャパ、シノ、俺が手塩にかけて育てきた4人だ。好きなようにコキ使ってくれ」
「へーい」
「春日部、感謝する。
筒井、今すぐF4連れて、2-4に行け!すぐに採寸してもらえ」
「また命令かよ」
「チャパ、ウチらの次期エースを貸してやんだぞ、負けは許さねーからな」
「へーい、ありがと。怖いお兄さん達はほっといて、
いつも、とっても優しいお兄さんと採寸しに行こうねー」
「いやー、まさかライトが居るとはなー」
「それはこっちのセリフって話」
「ライト、お前、ダンスなんて出来んのか?」
「その言葉、あんたにそっくり返しますよ」
「なーんだ、ライトー。お前、筒井先輩と知り合いだったのかー」
「いえ、ただ知ってるってだけです」
「そ、知ってるだけ」
2-4教室、手芸部
何か凄い忙しそう。
「モモカ、なんか、忙しそうだね」
「チャパ?何か用ー?急に衣装の依頼が入っちゃって、マジで死にそうなんだけど?」
この時期に?あの女の依頼かな?
「あのー、忙しいところ悪いんだけど、この子達の採寸して欲しいんだけど、さー?聞いてる?」
「はぁ?あんた、あたし達殺す気ー?ただでさえ手数足りてないの、判る?」
「じゃ、じゃさ、とりあえず、この子達のサイズ測っといてくれる?
シノに、手伝える子、調達できないか、聞くから」
シノにLINEすると、すぐに5人くらいの子が集まった。
俺、裁縫で、雑巾くらいしか縫ったことないけど、
みんなで集まって、女子トークしながらチクチクしてるのって、
楽しそうだよな。
「すまんな。この部分は手縫いでないとうまく出来ないらしい」
意外だったのは、シノが針を滑らせていること。
真剣なシノって、悔しいけど、けっこう格好いいんだよなー。
「筒井、何、ジロジロ見てんだ」
「その、シノって、裁縫もできんだなーって思って」
「これくらいは日常茶飯事だ。
そんなことはどうでも良い、採寸が終わった者から、その辺でフリコピしてこい」
「ゼンくん、俺、あの人怖ーい。
ダン女もまだ居るっぽいから、とっても優しいお兄さんと柔道場行こうねー。
他の子も採寸終わったら柔道場に来てねー」
小虎の独り言:
春日部ヒロミは、スラムダンクの井上先生が書きそうな、ごっつい感じの人ですね。
芯はあるけど、不器用で、周囲とはあんま馴染んでいない感じ。
ウッチーは、BLEACHの平子隊長のような、ちょっと掴めない感じの人です。
どちらも、不良というわけではないですが、話しかけづらい所があります。
部活内ではとても求心力があるので、条件が合えば付き合いやすい人なんだと思います。
F4は、ほんと適当なんですが、Back Storyで勝手に使わせてもらっている増増と刺刺、
ショウとライトは仮面ライダーWの主人公二人から名付けました。
モブキャラで済まそうかなと思っていたのですが、顔があると、色々書きたくなっちゃいますね。
話し言葉が多い書き方なので、区別がつくようにF4には思いっきり口癖を盛り込みました。
Ep.5のまとめで、もう少し詳しく書きますね。
「悲愴」第二楽章
https://www.youtube.com/watch?v=u55JQtYayz8&list=RDMMu55JQtYayz8&start_radio=1
古典中の古典ですね。「月光」と、どっちにしようか迷ったんですが、
夕方の太陽と、ヨリくんのバックハグを想像したら、「悲愴」の方が良いかなと思いました。
やっぱ、曲、強いですね。
そんなわけでEp.5は夏休みが終わり、学祭まで4週間というところから始まります。