俺はダンス部男子の春日部ヒロミの所へ。
ダンス部男子は特に決まった練習場もなく、校内の空いているスペースで練習している。
よくわかんないけどストリートダンスってのは、そういう文化らしい。
「おう、ヨリか、久しぶりだな」
「ヒロミ、久しぶり。ドレッドにしたんだ、カッコいい、似合ってるよ」
「名前で呼ぶなって、いつも言ってんだろ。
ヨリ、キスマーク、チラつかせやがって、何の用だ?」
「篠宮がさ、お前たちに学祭に出て欲しいって言ってんだよ」
「はぁ、篠宮が?あいつ、俺みてーなの嫌いだろ」
「嫌い嫌い、絶対嫌い。だから、俺が来てるってわけ。
篠宮、顔真っ赤にしてお願いしてんだぞ。想像してみろよ。笑えるだろ。
でね、ステージ映えする子、何人か推薦してもらいたいんだけど」
「そんなん知らねーよ。踊り使いたいんなら、女子使えばいいだろ」
「それがな、お前ら、YouTubeで、結構数字持ってるらしいじゃん」
俺は軽音が練習している第一視聴覚室へ。
もー、音大きくて、嫌い。
部屋に入ると、急に音が止む。
「えっと、あのー、今日グッチー来てるー?」
「なんだ、チャパか。何か用か?」
お前だって金髪じゃん。それに舌ピアス入れたのかよ、怖ぇー。
「単刀直入に言うけどさー、学祭に協力して欲しい」
「今更、協力しろだぁ?
オメー、25分、25分の枠もらうのに、
シノにめちゃ頭下げたの知らない訳じゃ無いよなぁ?」
「、、、実は、そのシノからのご指名、なんだよね、、」
「だったらチャパじゃなくてシノが直接言いに来いよ」
「シノ、恥ずかしくてグッチーに直接言えないだけなんだから」
「あのなぁー、オメーみたいなクソ生意気なチビが、シノに飼い慣らされてんの、
正直がっかりしたわ。もっと骨のある奴かと思ってたわ」
「はぁ?飼い慣らされてなんかねーわ。オメー、脳ミソ腐ってんのか?」
ウッチーに掴み掛かろうとすると、他の子達に引き留められた。
「まぁな、色々気に入らねーが、チャパのおかげで、備品をたっぷり補充出来たのは確かだ。
それに、あのチビに借し作んも、面白いかもしんねーしな」
「やった!グッチー、ありがとう」
「判ったから、くっついてくんな」
「えー、すげー。ヒロミ、こんなクルクル回って、どうやったらこんなん出来んの?」
「筋力もあるけどな、コツみてーのがあるんだよ」
「この火とか電気みたいのは、どうやって入れてるの?」
「これは斉藤達に編集してもらってる。
ほら、パリ五輪でブレイキンが採用されただろ。
だから伸びるかなーっと思って、気合い入れて、作ってもらってんだ」