「ヒロ、どこ行ってたの?」部屋に戻るとヨリくん。
「シノと話ししてた」
「もー、勝手にそういうことしないで。シノくんと会う時は俺も一緒に行くから。
また、シノくんと喧嘩したでしょ?」
「してないよ。シノ、可愛かったよ」
「本当?それならいいけど、本当?絶対、喧嘩したでしょ?」
「彼氏の言うことだよ、少しは信用してよー」
「信用できるくらい、大人しくしてくれたら信用するよ」
「おとなしくしてるじゃん」
「俺と一緒にいる時だけでしょ?」
「そんなことないよー。ねー、そろそろお風呂行こ」
部屋に戻って、しばらくイチャイチャしていると、扉をノックする音。
「はいはい、どうぞー」
ちょっと距離を離れて、服を整える。
「邪魔するぞ」枕を抱えた部屋着姿のシノ。
「あー、シノー。髪下ろしてるー。
髪下ろしていたほうが絶対可愛いよー。ヨリくんもそう思うでしょ?」
「風呂入った後に、わざわざセットするバカは居ないだろう」
「そうだね。いつもより柔らかい雰囲気にはなるね」
「で、何か用?」
「宮田から聞いたぞ。松尾、このバカと付き合っているそうじゃないか。
だから監視役として、今日からは俺もこの部屋で過ごす」
「はぁ?」
また、あの野郎、ペラペラと喋りやがって。
「こうなってしまったからには、お前たちの関係をとやかく言うつもりはない。
お前たちの関係は心から祝福する。
ただ、お前たちの関係が公になると、非常に都合が悪い。それは判るよな?」
「そんなん、知らねーよ。
シノだって、いつもイチャイチャしてんじゃん」
「それとこれとは、話が違う」
「シノくん、あのさ、俺たち、付き合い始めたばっかだからさ、
その、、何て言うか最初のドキドキした気持ち、判かってくれないかな?
そういうことされると、余計に火が付いちゃったりするかも、しれないじゃん?」
シノは俺たちの顔をジロジロと見比べて、鼻を鳴らす。
「フン、確かに、この雰囲気に割って入るのも、無粋だな。
お前らに借しを作るのも癪だしな。今回は大目に見てやる。
ただし、くれぐれも関係が公にならないよう、振る舞うように」
「へーい。知らねーよ、ばーか」
「菓子でも食っていたか?部屋に入った時に甘い匂いがしたぞ」
「食ってねーよ」
「そうか。松尾、部活を引退すると、運動量が急激に減るからな。
夜食は控えるように。学祭までは体型をキープしろ」
「命令ばっかすんなよ」
「筒井は、、、まぁ、そのままでいろ。じゃあな、おやすみ」
「なんだよ、あいつ。変な奴」