部屋に戻ってしばらくすると、文化委員会女子三人がやってきた。
顔見たことあるくらいで、あんまりよく知んないけど、
シノが手配しただけあって、仕事デキそうな2年生三人。
「ごめんねー、呼び出しちゃって」
「いえ、ヨリ先輩とヒロ先輩と、同じ空気吸ってるってだけで、
他の子から嫉妬されそうで、ドキドキしちゃいます」
「大袈裟だなー。部屋狭いし男臭いでしょ?窓開けるね?
そっちのベッドに座って」
「そんなことよりさー、アイツらにどう勝つかってとこだよ。
シノのことだから、どうせリサーチ入れてんだろ。今の時点で、どっちが勝つ予想ー?」
「ヒロ、寝っ転がったまんまで喋んない!」
「はい、当学園は男女比率が6:4。単純な投票となると、90%は、紅組の勝利になります」
「勝率10%かー」
「女子は何出してくると思う?」
「まずはチア部あたりでしょうか?新体操部もありそうですね。
OPはこのどちらかでしょう」
「それだったら、コーラス部も。アカペラで全国大会に出ていますし。2-3番手にはちょうど良いかと」
「書道部も、大きな大会に出ていますよ。大きな紙に描くので、10分で足りるかは分かりませんけど
色とりどりで文字が力強くて、初めて見たらかなりインパクトあると思います。」
「有能有能。しかし、女子、強えーなーー」
「男は?」
「シンクロ部のパフォーマンスは人気があるので、映えると思います」
「シンクロ?舞台上でできんの?」
「映像使うって手もありますよ」
「でも、生の水着姿見たら、思わず、キャッってなっちゃいますよね」
「キャッで言ったら、ヨリ先輩とヒロ先輩のツーショットなんてあったら、
すごい盛り上がると思いますけど」
「そぉ?俺がこう、ヨリくんと並んでて、映えるー?」
「尊い、尊すぎますー。ヨリ先輩、ヒロ先輩の肩をちょっと抱いてみてください」
「こお?」
「もおーーー、お二人の写真撮りまくって自慢したいです」
「こーいう需要って、あるの?」
「あります、あります。絶対あります。
学園一二の人気者が、実はこっそり付き合ってましたなんて裏設定、
腐女子的にはたまらないですよー」
、、この子たちと、あんま喋んない方が良いかも。
「そういえば、シノ先輩。殺陣(たて)とかできるみたいですよ」
「殺陣?あいつ、そんなこともできんの?」
「シノ先輩、ご自身の話はほとんどしないし、かなり不確定なんですけど、、、。
ご両親が芸能人だったみたいで、子供の頃はアメリカに住んでいたとか、、、」
「それであいつ、あんなに英語喋れんのか。他に情報は無いの?」
「一応、調べてはみたんですけど、それらしきものは引っかかりませんでした」
「えー、もっと調べようよー。超おもしれーじゃん」
「あのー、私、ちょっと気になっていたんですけど、
シノ先輩、学園の人間であれば男女を問わず交渉可能って仰ってましたよね」
「そうそう、やっぱ君、優秀だわ」
「ヒロー、何で上から目線なんだよ」
「シノの耳に入っているかどうかは知らないけど、
俺たちは昨日、手芸部と、ダンス部女子に交渉しに行った」
「確かに、手芸部は多分女子しかいないから、使うなって方が無理ですよねー」
「要は、学園内の者であれば誰でも使っていいってことですか?」
「何でもって言われましても、それはそれで結構難しいですよね。」
「あのチビ、生意気なこと思いついてくれんじゃねーか」
「そいじゃ、マリちゃんとサヨちゃんは運動部と交渉、マイちゃんは文化部と交渉。
俺たちも動くけど、それぞれシノとヒメに何言われたか、探りを入れるように」
「はいっ」
キャッツアイが去っていき、ヨリくんが俺の隣に座った。
「なんか。あっという間に色々決めちゃったね」
「あの女には負けたくないからな」