お昼を過ぎて、陸上部のヒメと、囲碁将棋部のツカサちゃんが合宿所にやってきた。
下着が見えそうな超短いミニスカート。
ヒメとは腐れ縁みたいなモンで、小中高とずっと同じ学校。
みっともないから、ケバい化粧すんなよ。
「それ、舞台衣装?」
「そ、結構思い切っちゃてるっしょ。ヒロんとこは、どこまで出来てるん?」
「まだ、これから」
「じゃ、もう、やる前からうちらの勝ち確だしー」
「だねー」
「おい、勝ちって何だよ?」
「あれー?シノくんから聞いてなかった?
要は紅白歌合戦的な?紅組と白組でどっちが良かったかっていう、やつ」
「そんなん、聞いてねーよ」
シノの手の平で転がされてる感じ、すげー気に入らない。
「男子がそんなんじゃ、やる気下がっちゃうしー」
「ねー爆下がり」
「ヒメ、イキがってんじゃねーぞ。じゃー俺らの方が、100倍カッコいいとこ、証明してやるよ」
「ヒロ!やめろ」ヨリくんに咎められた。
ヒメとツカサちゃんは「じゃ、がんばろうねー」と言い残して去っていった。
「ゴメン、また怒っちゃった」
「少しずつ、直していこうね」
「ねぇー、ヨリくんはさ、俺のどこが好きなの?」
「顔」
「顔ぉ?ひどーい、もっと良い所あるでしょ?」
「うーん、いつも危なっかしいけど、結局最後は俺の腕の中に収まってくれる、
子猫ちゃんみたいなとこかなー」
「危なっかしくて悪かったな、ニャー」
「ヒロは、俺のどこが好き?」
「いつも凄いカッコいいところと、いつも優しくしてくれるとこ」
「よーしよーし、ヒロかわい。学祭、頑張ろうね」
夕食の後、文化委員会の会合に呼びだされた。
シノを挟んで、向かい側には件のギャル二人。
いきなり睨んでくるなんて、あの女、いい根性してんじゃん。
「えー、先ほど、花園から提案がありまして、紅白形式で投票をするなら、
各部と連携していくつか出し物をした方が盛り上がるのでは無いかと」
「そんなのめんどくさいから、そっち(文化委員)で決めてよ」
「ね、ほらー。言ったっしょ。ヒロ、全然やる気無いんだしー」
「はぁ、やる気あっから、ここ来てんだけど?」
「やる気の差が、引くほどかけ離れてんすけどー?」
「ヒメ、お前、化粧濃くして、イケてる雰囲気出してっけど、全然似合ってねーかんな」
「ヒロだって、いい歳こいて、いつまで弟キャラやってんの?下の毛生えそろってんのかよ?」
「お前、貧乳のくせに胸元広げやがって。図に乗ってんじゃねーぞ」
「はぁ?どっちが図に乗ってんだよ?」
「花園、やめろ!未練がましいぞ」シノが静止する。
「はぁ?シオンにそんなこと言われたくないし」
「全然意味わかんね。帰る」
思わず立ち上がりそうな所を、ヨリくんが抑えてくれていた。
「ヒロ、落ち着いて、ね、座って。ほら、ニャーって顔しよ」
「ニャ怒」
「どうにも知性が低い者が多くて申し訳ない。本題に戻ります。
このご時世、男女で対戦するのは時代錯誤と言われるかも知れません。
ただ、花園の提案は各部の活動をアピールできる良い機会でもあると思います」
「こういうのはどうでしょう?学祭最後のイベントとして、
それぞれ5分から15分くらいの出し物を、
それぞれ3つか5つか出して、どちらが良かったか投票してもらうというのは」
「それ良いですね。」
「普段、目立たない部活動をフックアップできるかもしれませんね」
「それでは、独断になり申し訳ないが、
当委員会よりエージェントとして、白組に女子3名、紅組に男子3名を配属する」
「筒井、花園は明日夕食時までに紅白戦の大まかな内容を決め報告するように。
各組は、学園の人間であれば男女を問わず交渉可能とする。
当委員会は、紅白問わず、学祭当日まで各組に強力する事」
「はいっ!」
「じゃーエージェントは、色々終わったら俺たちの部屋に来てねー」
「はい!」
「じゃ、男子もウチらんトコ来て」
「真似すんなよ」
「真似じゃないし。時間を有効に使いたいだけだしー」
「ほら、睨まない」
「あいつが睨んでるからだろ」
「ほら、ヒロ、また、シャーッて顔になってるよ。ほら、ニャーって顔して」
「ニャー怒」
「そ、ヒロは可愛いんだから、いつもニャーって顔していようね」
後から知ったけど、白組は白虎チーム、紅組は鳳凰チームということになったみたい。