合宿所の風呂場。
すっかりぬるくなった湯船に隣り合って浸かっている。
手を繋いでいるけれど、多分、お互い顔真っ赤。
「部屋戻ろっか」「うん」
部屋に戻って、いっぱいイチャイチャしたかったけど、
なんかすごく疲れちゃってて、すごく眠い。
「ヨリくん、ごめん。俺、すごく眠い」
「うん、寝てていいよ。俺はヒロの寝顔見てるから」
朝、目が覚めると、ヨリくんが腕枕してくれてた。
あー、俺たち、やっぱ、付き合ってんだー。
初めてできた俺の彼氏。今日もかっこいい。昨日より、もっと好き。
そっと抱きつくと、ヨリくんが抱きしめ返してくれた。
「おはよ。ヒロは寝起きでも、可愛いね」
「ありがとうー」
「ヒロの甘い匂いがする」
「だから、それ気のせいだって」
「ヨリくん、おはようのチューして」
「はい、おはよ」
「雑ー、やり直してー」
合宿は面倒くさいけど、朝からヨリくんとずっと一緒に居られるのは嬉しいな。
「もうちょっと寝てていい?」
「朝ごはん8時だから、10分前には起こすよ?」
「うん、それまでヨリくんの膝まくらで寝てる」
「ヒロは意外と甘えん坊なんだね」
「ヨリくん、下から見てもかっこいい」
「もー照。俺は参考書読んでるから、時間まで寝てて。シーツかける?」
「ううん、要らない」
「ほら、ヒロ、うつ伏せで寝ない!」
「ヒロ、起きて、起きろ!」
「はい、うん」
「ヒロはよく寝る子だね。武蔵みたい」
「えー、あのポヨポヨと一緒にしないでよー」
音楽室へ行く途中から、パーカッションとサックスの音が聞こえてきた。
「おはようございます」「おはよー」
「マサキ、ごめんねー。やること増やしちゃって。ビバップの楽譜見てくれた?」
「はい」
しばらくして、ウッドベースのリュウジがやって来た。
「おはようございます」「おはよー」
「じゃー、5人揃ったから、一発合わせよっか」
Tpショウ、Tsaxダイゴ、Wbリュウジ、Kbヒロキ、Pcsマサキ。
PE’Z「Akatsuki」
https://www.youtube.com/watch?v=gET09aOXZXI
「うん、大体良いと思うけど、ショウ、ダイゴ、
エキシビジョンみたいなもんだから、
普段やらないように、大袈裟に体動かしてよ」
「大袈裟ですか」
「俺もペダルあんま必要ないから、立って演奏してみる」
音楽室から帰る途中、LINEが入った。
「合宿所生活、楽しんでいますかw」
何だ宮田かよ。元気なのかな。
「そんなことより、お前、コロナ大丈夫なの?」
「さーー?何の事言ってんのかよくわかんねなーw」
「はぁ?何だよそれ」
「で、結局、いい感じになったんだろ。この、モテ男君っw」
ぐぅー。昨日も今日も、イチャイチャしちゃってるから、うまく返事が書けない。
「あのさ、お前だから言うけどさ、、俺、ヨリくんと付き合うことになった」
「はいはい、おのろけは結構でーすw」
俺、どっからハメられてたんだ???
「お前、また有る事無い事言いふらすなよ」
「そりゃ、お前らが付き合ってるなんてバレたら、
女子のテンション爆下がりだもんなw」
「何だよそれ!」
あーーー、すげー気に入らねぇ。アイツ、どこまで知ってんだよ怒。
「ま、学祭終わったら、永来軒奢り決定な?」
「何でオメーに奢んなきゃいけねーんだよ?」
「俺が居なければ、君たちの関係が進むことは無かったわけだろ?
少しは感謝しなさい」
「知るかよ、ばーか。⚪︎ね!」
「ヒロ、おかえりー。え?なんか怒ってない?」
「宮田にハメられてた」
「宮田と会ったの?」
「LINEで話してた。ヨリくん、アイツにどこまで話してんの?」
「もう、ヒロ、怒らないで。
俺はヒロと仲良くなりたいなって、いつも話してただけで」
「ヨリくん発信だったってこと?」
「、、結果的には、そういう事になるね」
「もーー、俺、アイツに借し作りたくないのにー」
「ごめんごめん。俺、ヒロのこと大事にするから。だから、怒るのやめて?ね?」
「じゃー、ぎゅーーーってして」
「はい、ぎゅーーっ」