君が微笑んでくれるから Ep02天敵-1

君が微笑んでくれるから

合宿所の風呂場。
すっかりぬるくなった湯船に隣り合って浸かっている。
手を繋いでいるけれど、多分、お互い顔真っ赤。
「部屋戻ろっか」「うん」

部屋に戻って、いっぱいイチャイチャしたかったけど、
なんかすごく疲れちゃってて、すごく眠い。
「ヨリくん、ごめん。俺、すごく眠い」
「うん、寝てていいよ。俺はヒロの寝顔見てるから」

朝、目が覚めると、ヨリくんが腕枕してくれてた。
あー、俺たち、やっぱ、付き合ってんだー。
初めてできた俺の彼氏。今日もかっこいい。昨日より、もっと好き。

そっと抱きつくと、ヨリくんが抱きしめ返してくれた。
「おはよ。ヒロは寝起きでも、可愛いね」
「ありがとうー」
「ヒロの甘い匂いがする」
「だから、それ気のせいだって」

「ヨリくん、おはようのチューして」
「はい、おはよ」
「雑ー、やり直してー」
合宿は面倒くさいけど、朝からヨリくんとずっと一緒に居られるのは嬉しいな。

「もうちょっと寝てていい?」
「朝ごはん8時だから、10分前には起こすよ?」
「うん、それまでヨリくんの膝まくらで寝てる」
「ヒロは意外と甘えん坊なんだね」
「ヨリくん、下から見てもかっこいい」
「もー照。俺は参考書読んでるから、時間まで寝てて。シーツかける?」
「ううん、要らない」
「ほら、ヒロ、うつ伏せで寝ない!」

「ヒロ、起きて、起きろ!」
「はい、うん」
「ヒロはよく寝る子だね。武蔵みたい」
「えー、あのポヨポヨと一緒にしないでよー」

音楽室へ行く途中から、パーカッションとサックスの音が聞こえてきた。
「おはようございます」「おはよー」
「マサキ、ごめんねー。やること増やしちゃって。ビバップの楽譜見てくれた?」
「はい」

しばらくして、ウッドベースのリュウジがやって来た。
「おはようございます」「おはよー」
「じゃー、5人揃ったから、一発合わせよっか」

Tpショウ、Tsaxダイゴ、Wbリュウジ、Kbヒロキ、Pcsマサキ。
PE’Z「Akatsuki」
https://www.youtube.com/watch?v=gET09aOXZXI

「うん、大体良いと思うけど、ショウ、ダイゴ、
エキシビジョンみたいなもんだから、
普段やらないように、大袈裟に体動かしてよ」
「大袈裟ですか」
「俺もペダルあんま必要ないから、立って演奏してみる」

音楽室から帰る途中、LINEが入った。
「合宿所生活、楽しんでいますかw」
何だ宮田かよ。元気なのかな。

「そんなことより、お前、コロナ大丈夫なの?」
「さーー?何の事言ってんのかよくわかんねなーw」
「はぁ?何だよそれ」

「で、結局、いい感じになったんだろ。この、モテ男君っw」
ぐぅー。昨日も今日も、イチャイチャしちゃってるから、うまく返事が書けない。
「あのさ、お前だから言うけどさ、、俺、ヨリくんと付き合うことになった」
「はいはい、おのろけは結構でーすw」

俺、どっからハメられてたんだ???
「お前、また有る事無い事言いふらすなよ」
「そりゃ、お前らが付き合ってるなんてバレたら、
女子のテンション爆下がりだもんなw」
「何だよそれ!」
あーーー、すげー気に入らねぇ。アイツ、どこまで知ってんだよ怒。

「ま、学祭終わったら、永来軒奢り決定な?」
「何でオメーに奢んなきゃいけねーんだよ?」
「俺が居なければ、君たちの関係が進むことは無かったわけだろ?
少しは感謝しなさい」
「知るかよ、ばーか。⚪︎ね!」

「ヒロ、おかえりー。え?なんか怒ってない?」
「宮田にハメられてた」
「宮田と会ったの?」
「LINEで話してた。ヨリくん、アイツにどこまで話してんの?」

「もう、ヒロ、怒らないで。
俺はヒロと仲良くなりたいなって、いつも話してただけで」
「ヨリくん発信だったってこと?」
「、、結果的には、そういう事になるね」

「もーー、俺、アイツに借し作りたくないのにー」
「ごめんごめん。俺、ヒロのこと大事にするから。だから、怒るのやめて?ね?」
「じゃー、ぎゅーーーってして」
「はい、ぎゅーーっ」

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